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コスト削減の重要性

社長から「営業利益を1,000万円増加させる」と言われたら、あなたは何をしますか?

営業利益10%の会社であれば、1億円の売上を作る必要があります。一方、1,000万円コスト削減できると=営業利益1,000万円となります。会社の永続的な発展のため、売上を作ることは大切です。しかしコスト削減の効率も無視することはできません。

 

まずはコストの正体を知ること

コストに関する話題になると、「水道光熱費」や「印刷費」などに分類される関節経費や人件費を思い浮かべる方が多いことでしょう。目につきやすいものは短期的な効果を得やすいものが多いです。今月・来月の支払いなどの短期的な視点だけでなく、中長期的に考える必要がありもう一歩踏み込んだコスト管理が必要です。

コスト削減に取り組むということは、売上や利益に課題を感じているか、何かしらの投資に新たな借入を申し込むもしくは自己資金から捻出するかを検討したことが背景にあるかと思います。新たな借入を選択したとして、そこには金利などの資金調達コストが発生します。その前に、現在の借入額を調整して金利負担を圧縮するなど、これもコスト削減です。

人件費であれば、労働契約を始めとして、日々の時間管理や、社会保険料・雇用保険料・退職金まで考慮しているかなど、中長期目線で考えてみると、短期的に取り組む内容は、人事制度や給与体系の見直しなどが考えられます。

別の例では、現在の通信容量に合わせた通信回線を用意したが、社員の増加に伴い拡張しようとしたが、追加工事が必要になった等々、短期的に良いと判断したことが、実は時間の経過のともに新たな問題になる可能性も秘めているのです。

「コスト」といっても、今月・来月の短期視点と、事業計画に従った中長期視点では、削減対象も考慮する内容も変化することをご理解いただけたと思います。

 

コスト削減に必要な視点

では続いて、次の視点を見ていきましょう。一般的にコスト削減という場合、PL(損益計算書)からのアプローチがほとんどで、BS(貸借対照表)に紐づく費目まで削減することは考えられることは中々ありません。コスト削減にあたっては、PLの視点とBSの視点をもって本来は取り組む必要があります。

① PL視点のコスト削減・・・原価、OA費、広告宣伝費、光熱費、関節人件費等の視点

短期的なコスト削減の視点です。通常業務の中で気がついたところから節約したり、製品の仕様変更、仕入先の変更による単価の抑制もコスト削減です。比較的すぐに効果が現れます。ここで重要なのは、必要な機能(業務機能)のコスト品質は落とさず、不要な機能(業務機能)のコスト削減をテーマとすることです。

例えば、コストを削減した代わりに品質が落ちてしまうこともあります。コスト削減を進めるあまり、通常業務の遂行に支障をきたす変更を加えてしまうことはあってはなりません。

 

② BS視点のコスト削減・・・在庫、不良資産、支払利息、減価償却等の視点

中長期的に取り組むため必要な視点です。減価償却を定額法から定率法に変えて、支払う税金を下げることも可能ですし、遊休資産を売却して得た現金で、不要な借入を返済するなど、対策実施後、すぐに効果発現するものではなく、1年〜を見据えることが絶対となります。

例えば、金利の引き下げ交渉や、現在ある現預金で高い部分の借入を返済するなどで支払利息を削減するにしても、対象となる金融機関との関係性を毀損し、必要な時に必要な資金需要を満たすことができない可能性も秘めていることもあります。

PLと比較し、BSのコスト削減はよりセンシティブな側面を抱えており、安易なコスト削減ではなく、中長期の事業計画に従う必要があります。コスト削減への取り組みを選択した時点で、単なる節約ではなく、得たい結果=削減金額や必要資金額を掲げることでしょう。その目標が事業計画と整合性があるものでないと、実際に実行する社員や、社外の協力者からの理解が得られず、目標に達しない事態を避けましょう。

 

コスト削減を行う際に、「やってはいけないこと」

ここまで、コスト削減に必要な視点をお伝えしてきましたが、実行に移す前に「やってはいけないこと」を押さえてください。取り組みの効果を最大にするため、注意する4つのポイントをご紹介します。

 

その1・・・コスト削減を目的化する

コスト削減はあくまで「手段」です。目的達成のためにコスト削減しなければと進めていくうちに目的化すると、会社経営に必要な資源まで削減してしまったり、戦略的な長期視点でのコスト削減の弊害となります。例えば、製造委託先を変更することでコストメリットがあるとわかったが、初期投資として、金型の製作が必要になり、一時的なコスト増加を容認できない等、戦略的な施策が行えなくなる可能性があります。

 

その2・・・コスト削減を社員へ強要する

コスト削減に対する経営陣と社員のモチベーションには温度差があります。会社を経営する経営陣は利益に直結することなので高いモチベーションで望めますが、成功したからといって社員の給与が必ず増えるわけではないでしょう。社員にとってはモチベーションの維持が難しいことから、経営陣は社員の立場と目線で取り組まなければ効果は望めません。

 

その3・・・作業効率、生産性を落とす削減

例えば、オフィスの電気の一部を消している、広いオフィスにコピー機が一台しかない、冷暖房をつけていないまたは弱い等、作業効率を落としかねない削減のことです。社員のモチベーションを下げてしまう「無理」をさせるコスト削減は短期的な効果でしかなく、長続きしません。

 

その4・・・削減理由を伝えない

「経費を削減してください。」と言われて、「はい、わかりました。」と対応する人は多くはないでしょう。特に、日々、コスト意識が高く、試行錯誤している社員にとっては、これ以上の削減をしろと?と反発を招き、売上低下につながる可能性もあります。経費削減することの意義や、明確な削減理由、そして、変更によるメリット等を示さなければなりません。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。コスト削減を実行に移す前の前提部分をお伝えしてきましたが、削減といっても範囲も広く、奥も深いものだとご理解いただけたと思います。貴社においてもコスト削減の取り組みを見直したり、始めたりする際の参考になればと思います。

次のコラムでは、「コスト削減を実行するために必要なステップ」をお伝えする予定です。

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