
別のコラム「コスト削減の重要性」で、その効果や必要な視点についてお伝えしました。本日は、具体的な実行ステップについてお伝えしたいと思います。既にコスト削減を実行されている方は、チェックリスト代わりにご利用ください。
コスト削減実行の前に、前提を浸透させる
日常業務におけるコスト削減や、プロジェクトとして進める前に社内と方向性の確認することや、推進に向けたキックオフを行うなど、前提の共有が必要です。コスト削減方法は非常に多くの方法が存在します。ペーパーレス化に代表されるように、アウトソーシングの活用、業務管理のクラウド化、オフィスコストの見直し、エネルギーコストの見直し、テレビ会議導入による出張の抑制等、技術革新による選択肢の拡大が進んでいます。WEBでコスト削減と検索するだけで多くの削減方法が確認することができます。
その上で、「コスト削減の重要性」でお伝えした通り、短期(今月・来月)と中長期的(1年以上)の視点で、何を選択するか・どのように進めるかを決定するのに必要な、「コスト削減の2つの前提」を、浸透させることから始めてください。
① 業務の無駄や重複を無くすこと
② 現在の(材料、業務委託発注等)価格は、高いと考える
この2つの前提がなければ、「これまでこれでやってきたのに…」「使い勝手が良いのに…」「長年のお付き合いなのに…」、ということが発生し、削減したようで削減できていない不本意な結果になることでしょう。さらに、3つの前提について、詳しく見ていきたいと思います。
1. 業務の無駄や重複をなくすこと
A)そのお金(経費)は、売上の拡大(利益の拡大)に繋がっているか?もしくは時間短縮に繋がっているか?
(例えば、コピーは、裏紙ではいけないのか?カラーコピーでないといけないのか?そもそも印刷する必要があるのか?次工程で似たような作業を行っていないか?)
B)その時間(手間)は、売上の拡大(利益の拡大)に繋がっているかどうか
(例えば、出張時の移動時間は削減できないか?2人ではなく、1人で行くことはできないか?必要だと思っていたサービス内容を省いても、支障がないのではないか?過剰な包装などを行っていないか?)
C)あった方が良いモノは、無くても良いモノ
(例えば、年に数回しか使用しないものを購入する必要はあるのか?レンタルできないか?アウトソーシングできないか?事務用品は共有できないか?デスクは一人ずつに必要か?)
D)自分でできないか
(例えば、管理職の仕事を部下に依頼し、部下の時間外労働が発生していないか?)
E)利益を生まない資源を抱えていないか?
(例えば、整理整頓し、書類他を探す時間を減らせないか?必要な書類を保管しているか?倉庫スペースの有効活用はできているか?無駄な人件費を支払っていないか?)
…etc
2. 現在の(材料、業務委託発注等)価格は、高いと考える
F)会社の経費を自分でお金として使う
(例えば、自分のお金なら、100円ショップで買うが、急いでいるのでコンビニで買う、自分のお金ならよく調べて買うが、会社のお金なので、現在の取引のある業者から買う、自分のお金なら価格交渉をするが、会社のお金なので、今までと同じ価格で買う。)
G)価格を都度調べて、最も適合性の高い仕入先から買う
(例えば、毎年必ず、最も安いと思われる業者を1社加えて相見積もりを実施する。)
H)現在の取引先を可哀想と思わない
(取引を止めてしまうと可哀想は、ビジネスではない。自社も取引先も双方ともに企業努力は当たり前である)
…etc
3. 最も押さえておくべきことは、会社のお金であるという意識を徹底させることです。
自分のお金を使うなら、無駄遣いしないことでも、会社となると何故かルーズになる、自分のお金なら節約できるのに、会社のお金だと節約できない。ということを発生させないために、会社のお金であることを認識し、進め方に移ります。
コスト削減のステップ
次に、コスト削減の進め方についてですが、こちらは「購買に関するステップ」と「業務改善によるステップ」でご紹介いたします。
【購買に関する削減ステップ】
- 削減する目標金額を決める。(キャッシュ・利益ベースなどベースラインを決定する)
- 人件費を除く経費の内、年間取引金額が多いものから順に並べる
- コスト削減のための施策を検討する
- 2、3のうち、年間取引金額が一定金額以上の交渉先を決定する
- 前述の「コスト削減に取り組む前に」でご紹介したA)~H)の考え方に従い、決定した削減額を取引先に投げかけて、削減への協力を依頼する
- 4を集計し、削減額まで1~4を繰り返し行う
- それでも、削減額に到達しない場合は、「コスト削減に取り組む前に、、、」でご紹介したE)利益を生まない資源の処分を検討する。
【業務改善に関する削減ステップ】
- 削減する目標金額を決める。(キャッシュ・利益ベースなどベースラインを決定する)
- 業務量と業務時間を調査する
- 業務量が多いかつ、業務時間が長い業務から順に並べる
- 3のうち、削減対象とする業務の業務フローチャートを作成する。
- 4のうち、アウトソーシング可能、IT化可能(省力化)、辞めても良い業務を検討する
- 5のうち実現可能な方法(業者、システム等)を探す。
- それでも、削減額に到達しない場合は、「コスト削減に取り組む前に、、、」でご紹介したE)利益を生まない資源の処分を検討する。
というステップとなっていますが、このステップのうち、人件費への着手を一番最後にしたのには訳があります。それは、賃金カットや人員削減で一度下がったモチベーションを立て直すのには、相応の時間を要します。会社に残るキャッシュを増やそうとしたのに、担い手が不在になり、事業が縮小するようでは本末転倒と言えるでしょう。人件費は事業存続の危機に陥った時でも最後の手段と心得えます。
しかし、事業再生などの既に危機に陥ってしまっている場合は、その限りではありません。一刻を争う状態の場合、ステップの順序は前後します。
まとめ
ここまでコスト削減に関してお伝えしてきましたが、実は、やり方よりも、「コスト削減の2つの前提」が浸透していると、普段から強い財務体質となっており、事業も好調に伸びていきます。日頃から、2つの前提を踏まえた事業活動を行ってみてください。
コスト削減を交渉する分野によっては、相場感や価格決定要素が不明なため、専門的な知識を要するものもあります。現在の財務諸表や請求書を基に、セカンドオピニオンとして専門家に相談するのも良いですし、コスト削減を代行するサービスも出てきていますので、委託するのも効果的な方法です。
ご存知の通り、コストが下がると同じ売上でも、ダイレクトに粗利額が増加し、会社に残るキャッシュを最大化することができます。貴社でも今一度、コスト削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。